モリーズ・ゲーム 75点
ブラックパンサー 85点
「MCUに時代性を持ち込んだ意欲作」
「フルートベール駅で」 「クリード/チャンプを継ぐ男」のライアン・クーグラー監督の意欲作。アフリカ・黒人・女性が大活躍するというメッセージ性や言語・音楽・風俗・衣装・意匠などのアフリカ文化への敬意は充分に理解できるし、時代性という意味でメイクセンスなのは分かるが、 MCU作品のクオリティとしては標準的か。
韓国のカジノでの大立ち回りからカーアクションの展開は素晴らしかったが、後半やや尻すぼみになった印象。これが他のMCU作品を超えて大ヒットしているのだから、僕の感覚よりも世界のほうが進んでいるようで、お薦めです。
トレイン・ミッション 75点
「ジャウム・コレット=セラ×リーアム・ニーソンの鉄板パニック・エンターテインメント」
ジャウム・コレット=セラ監督×リーアム・ニーソン主演のニューロティック・スリラー。
前作「フライト・ゲーム」同様乗物(のりもの)モノだが、電車という半密室ということもありアクション要素が増していてその分興奮度は高い。細かい突っ込みを入れだすとキリがないが、ジャンルものとして開き直って楽しめば、コメディリリーフもあり心地よい快作。
「ジャッジ 裁かれる判事」のヴェラ・ファーミガのキャスティングが絶妙で、よかった。少し鬱々としているときに観るのが、お薦めです。
キングスマン:ゴールデン・サークル 80点
君の名前で僕を呼んで 90点
「美しいイタリアの田舎町の、美しいひと夏の恋愛の物語」
とにかく美しい物語。オリヴァー役のアーミー・ハマーはさすがに年齢的に少し無理のある場面もあったけれど、なんともいえない表情が素晴らしく、演技に説得力があり、エリオ役のティモシー・シャラメは、華奢で繊細な役に完璧にマッチしていた。
内容的にはストレートなひと夏の恋の話なんだけれど、映像の美しさと2人の演技、そしてなんとも優雅なインテリジェンスをまとった夏のイタリアでの生活などが合わさって、現代版のギリシア的優雅さを表現するとこうなりました、という作品。
ギリシア彫刻の話が出てくるけれど、ゲイというのもその優雅さのひとつの要素に過ぎないからこそ、あくまでも自然に展開されるのだろう。想像していた以上に素晴らしい作品でした。東京では連日満席なのも頷けますね。
お薦めです。
ダンガル きっと、つよくなる 85点
「インド映画らしい圧倒的なスポ根エンターテインメント作品」
「きっと、うまくいく」のアミール・カーン演じる主人公と二人の娘の物語は事実をもとにしてはいるけれど、それ以外はフィクション満載で、お話はかなり荒唐無稽というかご都合主義的に進む。
それでも、純粋なエンターテインメントとして笑いあり、涙ありで、スカッと楽しめるボリウッド作品。
ミュージカル・シーンも他のインド映画と比べて控えめながら、よい感じで挿入される。女性の活躍や地位向上に注目した作品だけれど、髪の毛を切ったり男の子と戦わせたりするようなあまりにも常軌を逸したスパルタもあるスポ根物なので、フェミニストには怒られるかな……少し長いけれど、スカッと楽しみたい人にはお薦めです。