レディ・バード 95点
「青春時代がいっぱい詰まったジュブナイルの傑作」
舞台はカリフォルニア州都サクラメント。ドラマ「メンタリスト」のCBS本部所在地だが、LAやサンフランシスコなどとは異なる農業都市らしい。
そんな「田舎臭い」街に象徴された、青春時代特有の閉塞感と「何者かになる」アンビションを抱えたハイティーンの主人公を、ハマり役としかいいようのないシアーシャ・ローナンが好演している。
医療従事者で厳格な母を中心に、UCアーバインでMBAをとりながらも失業してしまう父、子供を諦めていた両親が養子にとった(メキシコ系の?)兄と居候のそのガールフレンド、という現代的ながらもこの手のドラマ(最近では「シング・ストリート 未来へのうた」 「スイート17モンスター」など)に典型的な家族構成や家庭環境という設定。
物語はほぼ想定通りに順当に進むんだけれど、コミカルで胸が痛くて「あーあるある」という、この手のジャンルのすべてが完璧に網羅されており、非常に完成度が高い。
レディ・バードが一枚絵のような家々を歩きながらカットを切り替えるシーンを多用するなど、サクラメント(とニューヨークの)家や風景を手際よく紹介していく撮影・編集も素晴らしく、映画の語り口によくマッチしていてよい。
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジスや「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメもイケメンの芸達者振りを存分に発揮しており、素晴らしい。
コミカルで胸が痛く、最後には爽快な気分になる素晴らしい作品でした。
お薦めです。