フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 85点
「カラフルな映像と子供の愛らしさが満開の、押しつけがましさのない社会派映画」
貧困層の「プロジェクト(公営住宅)」化している、フロリダのカラフルなモーテルを舞台にした物語。
前科などの事情があって公的支援が受けられない貧困層が週借りで家賃を支払い、たいていは小さい子供を抱えながら、文字通りの「その日暮らし」を余儀なくされている。
そんな悲惨な状況にあっても、子供たちはあくまで活発でその表情は活き活きとしており、希望を感じさせる。
もちろん「社会派」的な物語なんだけれど、子役達の演技が素晴らしく、悲惨な状況とのコントラストが、カラフルな映像と相俟って自然と浮かび上がるように構成されており、押しつけがましさを感じない。
解像度の低いiPhoneの映像に切り替わるところから、「真夏の魔法」はとけてしまうのか、はたまたそれは「魔法の国」の始まりなのか……
重いテーマが苦手な人にでも、お薦めです。
ショーン・ベイカー監督の前作、全編iPhone撮影のインデペンデント映画「タンジェリン」。今回も「iPhone撮影」がキーになっている。