カメラを止めるな! 75点
「よくできたコメディではあるが、評判先行の印象拭えず」
あまりにも周りの評判がよいので期待したけれど、よくできたコメディ作品という印象。メインの舞台となるロケ地の選定は素晴らしく、ワンカットという制約はこのロケ地の建物あってこそ、と言えるかもしれません。
皆が楽しめるが、何かが残るというような作品ではない。気軽に楽しむのがお薦めです。
ウィンド・リバー 85点
オーシャンズ8 75点
「#Mee too時代の金字塔的作品、なの?」
やりたいことはわかるけれど、あまりに葛藤や対立がないストーリー。これが「オーシャンズ」シリーズだからそうなのか(過去作品もそういう傾向はある)、この作品だからそうなのかは判断が別れるけれど、かえってステロタイプに感じられて、そこまで楽しめなかった。
女優陣の「多様性」も、淡々と描かれるため描き込みが少ないというか、キャラクタとして確立するまでに至らない感じ。主演のサンドラ・ブロック以外では、唯一アン・ハサウェイ演じる女優くらいか。ケイト・ブランシェットは最近何を演じてもケイト・ブランシェット様だし……
「ブラックパンサー」と並べたてて金字塔的作品と評価する声もあるけれど、正直そこまでの作品ではないと思いました。
でも、こういうのが今の時代の感覚なのかもしれないし、それについていけてないのはむしろ自分なのか、とも思わせる作品。そういういみではお薦めです。
2018年上半期映画ベストテン
1位 レディ・バード kazemachiroman.hatenablog.com
2位 シェイプ・オブ・ウォーター kazemachiroman.hatenablog.com
3位 15時17分、パリ行き kazemachiroman.hatenablog.com
4位 リメンバー・ミー kazemachiroman.hatenablog.com
5位 君の名前で僕を呼んで kazemachiroman.hatenablog.com
6位 スリー・ビルボード kazemachiroman.hatenablog.com
7位 アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー kazemachiroman.hatenablog.com
8位 レディ・プレイヤー1kazemachiroman.hatenablog.com
デッドプール2 85点
「前作以上に"ライアン・レイノルズ"が表現された爽やかな快作」
「完成度」という意味では、前作に譲るけれど、娯楽としてとても楽しめる作品だった。よい意味で主役(脚本もやっている)のライアン・レイノルズの「いいヤツ」な人柄がとてもよく反映され、荒唐無稽で洒脱なんだけれど奥底はたいへんマジメなメッセージのある内容。
冒頭からダニエル・クレイグ主演の「007」のオープニング・タイトルのパロディで爆笑させられる。ことあるごとにフィーチャーされるa-haの"Take On Me"は、前回の"Careless Whisper"から続く'80年代ヒット曲つながりなんだけれど、かの有名なMVの「本歌取り」的な使われ方がされていて、「アトミック・ブロンド」で’80年代ロックを駆使したデヴィッド・リーチ監督らしい技巧的な音楽の使われ方だと思った。
「”X-MEN"はポリティカル・コレクトネスに反するから”X-Force”にしよう」という科白なども力の抜け具合が最高。
ラストの「グリーン・ランタン」の脚本を見てニヤける(昔の)ライアン・レイノルズ自身を撃つシーンは、自虐ネタに爆笑させられる一方で、過去の自分との決別をあらわしているようにも思え、清々しい気分が残る。
ちぐはぐな脚本とかアクションと物語のスケールのアンバランスさとか、確かに指摘すればキリがないけれど、スカッと爽やかで何重にも楽しめ、ライアン・レイノルズが好きになる作品。お薦めです。
レディ・バード 95点
「青春時代がいっぱい詰まったジュブナイルの傑作」
舞台はカリフォルニア州都サクラメント。ドラマ「メンタリスト」のCBS本部所在地だが、LAやサンフランシスコなどとは異なる農業都市らしい。
そんな「田舎臭い」街に象徴された、青春時代特有の閉塞感と「何者かになる」アンビションを抱えたハイティーンの主人公を、ハマり役としかいいようのないシアーシャ・ローナンが好演している。
医療従事者で厳格な母を中心に、UCアーバインでMBAをとりながらも失業してしまう父、子供を諦めていた両親が養子にとった(メキシコ系の?)兄と居候のそのガールフレンド、という現代的ながらもこの手のドラマ(最近では「シング・ストリート 未来へのうた」 「スイート17モンスター」など)に典型的な家族構成や家庭環境という設定。
物語はほぼ想定通りに順当に進むんだけれど、コミカルで胸が痛くて「あーあるある」という、この手のジャンルのすべてが完璧に網羅されており、非常に完成度が高い。
レディ・バードが一枚絵のような家々を歩きながらカットを切り替えるシーンを多用するなど、サクラメント(とニューヨークの)家や風景を手際よく紹介していく撮影・編集も素晴らしく、映画の語り口によくマッチしていてよい。
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジスや「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメもイケメンの芸達者振りを存分に発揮しており、素晴らしい。
コミカルで胸が痛く、最後には爽快な気分になる素晴らしい作品でした。
お薦めです。